NTTホームページ 次世代サービス共創フォーラム 掲載記事
次世代サービス共創フォーラム オンラインコミュニティ 教育 第3回 2008年7月3日 より
現在の企業研修におけるeラーニングの状況と将来のeラーニングの可能性についてまとめてみたいと思います。
まず、現在のeラーニングはどうでしょうか。eラーニングは盛況でどこでも利用され、企業にとってはなくてならないもの、になっている・・・と言いたいのですが、必ずしもそう言い切れない部分があります。下記のグラフにあるように、eラーニング白書(2007年度版)によると、社員数2,000~5,000人未満の企業においては、53%がeラーニングを既に導入済みで、社員数が5,000以上の企業では、86%が導入しています。しかし、利用している企業では主にコンプライアンス教育(個人情報保護、情報セキュリティなど)が中心で単純な使い方が多いようです。比較的eラーニングの普及が進んでいるIT企業でも、技術教育、資格試験教育などがメニューに追加される程度で、自社独自のオリジナル教材を作ってeラーニングを活用している企業は極めて少ないのが現状です
企業内において更にeラーニングが活用されるにはどのような条件が整備されればよいのでしょうか。将来のeラーニングの姿を、期待を含め見てみたいと思います。
教材を安く、早く、簡単に作るオーサリングツールの出現
企業内で、それなりの60分程度の教材を作ろうとした場合、外部に制作を委託しようとすると数百万円の見積が届く場合があります。費用対効果を考えると少し躊躇してしまうかもしれません。このような時、教育の担当者が自分でもっと簡単に教材を作ることのできるオーサリングツールがあるとどうでしょうか。もっと、eラーニングが活用されるのではないでしょうか。
最近、パワーポイントをFlashに変換できるツール等が出てきていますが、パワーポイントのアニメーションとナレーションとの同期を取るのが苦手であったり、複雑なアニメーションの設定をすると正しく変換できない、などまだまだ不十分なところがあるようです。このようなツールは、台湾や韓国にいいツールがあるようです。eラーニングユーザも日本のオリジナルにこだわらず、海外でいいものはどんどん使いこなしていく姿勢が欲しいところです。
技術面での拡張が期待されるeラーニングシステム(LMS)
eラーニングのプラットフォームであるLMSは、ネットワークが整備されることで劇的に変わる可能性を秘めています。例えば、動画を含む教材を受講者が好きな時に好きな場所で学習できるVOD(ビデオオンデマンド)型教育の提供、遠く離れた場所にいる複数の受講生がリアルタイムで研修を受けられるTV会議型研修システム、NGN等高品質のネットワークサービスを活用することにより、衛星通信などへの大規模な投資をすることなく、廉価な費用で研修内容を一斉配信できるIP放送など、これまでのeラーニングのイメージを一新させる可能性が十分あります。
これらの新技術をうまく使うとオンライン試験なども実現可能になります。年に数回しか実施できない試験がいつでも開催できるようになり、受検者も休みの日に朝早くから大学まで試験を受けに行くことがなくなります。将来は「ネットで試験」が当たり前になっているかもしれません。